一般社団法人 日本計画行政学会 第20回計画賞(2023年度)
■計画賞とは
日本計画行政学会では環境問題、長寿化、情報化など新たな社会ニーズに応える革新的で先導的な計画を発掘し、これを表彰することを目的として1995年度に計画賞を創設しました。
計画賞は隔年、公募により集められた計画を対象に、60名を超える学会員による予備審査と各界を代表する審査員による最終審査の2段階審査方式により賞を決定します。これまで最終審査会では、公開プレゼンテーションを実施し、最終審査員との公開討論と学会員による会場投票を行うなどユニークな方法を採用してきました。
応募者は、自治体が中心ですが、NPO・NGO、シンクタンク、市民グループ、官民の共同応募も増えつつあります。内容は、省資源・エネルギー対応型のまちづくり、長寿社会構築、行政評価システム、参加型総合計画など新しい社会ニーズに応えるもの、対象地域は身近なものからアジア太平洋圏を視野に入れた構想まで多様です。また、最終審査会には、自治体首長みずからがパワーポイント、ビデオ等を駆使してプレゼンを行うなど、熱気のこもった会となり、各方面から大きな反響と評価を得ています。
21世紀を迎えて、時代は大きく変わろうとしています。このような激動の時代だからこそ、計画的対応の重要性はより高まっています。計画賞の存在により、計画担当者が互いに競い合い、創造的で豊かな社会の構築・実現へと寄与するものと期待されます。
■計画賞設置の意義
国、自治体において計画が制度として導入されてから四半世紀以上。この間に、計画行政の理念は浸透し、また数多くの優れた計画が策定され実現されてきました。しかし民間企業で行われてきた経営革新と比較して、公共部門の計画技術は革新の余地が大きいのが実情です。
その原因は、計画の策定には相当の努力が注がれているにもかかわらず、計画を評価し、その結果を公表する仕組みが確立していないことにあると考えます。そのために個々の計画としては優れたものがあるにもかかわらず、それらが互いに刺激しあい発展するという相乗効果が生じませんでした。計画賞の設置は、優れた計画を発掘し、これを表彰することで、社会全体の計画能力の向上を図ろうとするものです。
既にこの賞は設置して18回目を数えます。この間に数多くの優れた作品が世に出され、評価されてきました。計画の第一線にある多くの方々から、この機会に優れた成果を披露していただくことを期待しています。
■計画賞の特徴
●ハードウエア重視からソフトウエア、ハートウエアのバランスを重視した賞
建築関連の学会等の表彰制度は多数ありますが、そのほとんどが建築物、土木施設といった、ハードウエアの評価を目的としたものです。計画賞では、計画のソフトな側面やそれを支える理念(ハートウエア)を評価します。
●プランとプロセス
計画賞でいう計画とは、計画案だけではなく、計画の策定、実施、評価のプロセス(プランニング)も含むものと解釈し、両者を評価の対象とします。すなわち優れた計画案だけではなく、優れた計画活動、計画の制度・組織、計画の技術も評価の対象とします。
●多様な計画主体の評価
今日、行政の果たす役割は大きく変貌し、市場原理の導入、第三セクター、NPO・NGO、ボランティアとの協力など、官民連携の形態は多様化しています。従って社会的意義が大きく公共性の高い計画であれば、策定主体が民間であっても積極的に評価します。これも計画賞の特徴です。
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